Rucie Rieの器
ルーシー・リーの展覧会最終日。器のカリッとしたエッジ。凛とした姿。台に吸いつくかのような華奢な高台。花器の広口はさながら花。釉薬の宇宙。シルエットを見ても、とても30〜60年近く前のものとは思えない。モダンで美しい形状。また、映像の中のルーシーが轆轤の土くれから器を形作る。力強い男っぽく的確で大胆な指先の動き。思わず「ほうっ」とも「ふうっ」ともつかぬ、ため息をつきながら見た展覧会。美しいものを見るのは、なんと刺激的なことか・・・
展覧会を見たあと、テラスでコーヒーを飲んでいると米軍のヘリコプターだろうか。木の向こう側・・・目と鼻の先にランディング。タービンエンジンの排気の匂いがする。ローターの空気を圧縮し開放する大きな音。他のテラスの人も、ざわめく。しばらくしてエンジンの唸りが大きくなり飛び去っていった。自分の背後には、ルーシーの美しい器があり、前方には唸りを上げる軍用ヘリ。どちらも日常とはズレている。不思議な感覚だった。
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