
少々前の話になるが、昭和記念公園に花ををみにでかけてきた。
・・・チューリップやポピー、菜の花が咲いていたのだけれど、なぜかそれらの花は騒がしく、ただ目に情報として入ってくるだけで心にとどまらない。
離れた場所に残った散り際のさくらが、寡黙にはらはらと花びらを地面に落としている。
心に残るというのは、感情に動きがあってはじめて胸のなかにレコードのミゾを刻むのだろう。
夕方にさしかかったころ、よさげなベンチが目に入った。きいろくねっとりとした空気の中に、花びらが踊っている。ちょうど、油の膜を通したような風景。膜一枚ぶん現実とずれた場所に存在している。しばらく座っていたのだが、もしこのまま座り続けていたのなら、この場所から帰れないような気がしてその場を離れた。
