
まるで夕焼けのように、あかい、あかい、柿の実。昔、実家で冬の日にあかくなって食べ頃になるのを柿の木を下から見つめていた。1日で急に食べられるようになるわけでもないのに、柿の下に行っては様子をながめるのがこの時季の日課だった。まるで暗闇に光る電球にさそわれる蛾のように、そのあかく色づいていく実がすばらしいものに見えていたのだろう。別の柿の木がたわわに実って、いくらしゃきっと果肉と甘い汁気を味合わせてくれても、オレンジに色の輝く柿の実はあの頃の私を惹きつけてやまないものだった。食べたいというよりも、きれいな丸い形、濃いオレンジ色の塊を手のひらに乗せてみたかったのだ。