
新しい笊は、蕎麦の道具屋で買った虎竹の盆笊。この笊・・・蕎麦に使うものだけれど、パンのトレーや野菜の水切りなど便利に使うこともできる。竹の緑色が残っているのは、焙乾という方法で油抜きをしているためだ。この色彩と質感がとても気に入っている。焙乾した竹の表皮が好きなのは、いつのことからは覚えていないがかなり前からだと思う。そのころは、竹製品に色が残っている理由も知らず、生の竹を使っているからなのか?などと浅い素人考え・・・勝手に思っていたものだ。数年前には、真剣に竹細工を勉強しようなどと思って適当な幅に裁断した紙を使って編み方のサンプルを作ってみたりしていたこともある。結局は、いろいろな人と出会うタイミングから革扱うようになったものの、未だにその野望は棄ててはいない。学ぶべき時が来たなら、きっとまた出会いがあるのではないだろうか・・・などと考えている。
この盆笊とは関係ないのだけれど、先日テレビを見ていると、たまたま以前デパートの物産展でお会いした職人さんが、数人で竹工芸のプロモーションのためにミラノで展覧会を開いたことに関するドキュメンタリーの再放送をしていた。物産展で数分程度しか話をしなかった方だけれども、声を聴いただけで、作品も本人も見る前になぜか判る。自分が興味を持っている事柄に対しては人間の感覚というのは鋭敏なものだと思うとともに、しっかり覚えていた自分に驚いてしまった。
作品は、透きうるしの加工をした細い竹を繊細に編んだ、とても美しいもので、何かの機会にお会いできたら楽しいだろうと思う。