
仕事に詰まって、ちょっと「お遊び」。見ての通りの耳かき。ケースと本体で一時間ほどかけてしまった・・・なんとも効率の悪い話。耳かきで思い出されるのは、祖母の事。昼下がりのゆったりした時間、ヘアピンで耳掃除をしてもらうのは小さいながらの飛びきりの快楽だったように思う。当時、耳掃除の事を「耳くりくり」と呼んでいたのだが、昼食の満腹感と「耳くりくり」の心地良さにうっとりして、何時しか眠りに引き込まれていたものだ。窓を開け放った離れを抜ける風。日向に干した布団の匂い。あまりに長く眠ってしまって、わたしが赤い陽射しの色に染まって、その光で目が覚め「もう朝だよ。よう寝てたなぁ。」と起こされた事もあった。あの時は、何しろ寝起きのことすっかり騙されてしまって、ひどく慌てた事を覚えている。そんな話しも、随分と遠い記憶になってしまっている。いま、こうして自分で耳かきを作りでもしなければ、また遠い記憶のまま眠っていたのだろう。あの時の、家族の姿が少しだけ近くに感じた。